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噛むときだけ痛む奥歯のクラックを、神経をすべて除去しない歯髄切断法(パルポトミー)とオーバーレイクラウンで治療した事例です。炎症に露出した上部の歯髄のみを除去し、Plazenプラズマ殺菌と院内ミリングを経て当日約1時間30分で最終接着まで終えました。
「神経の治療って、10回は通わないといけないんですよね?」——ゴールドインレーを入れた奥歯が噛むたびにズキッと痛むと、忙しい一日の合間を縫って来院された患者様の最初の質問でした。
📌 要点まとめ
噛むときだけ現れ、力を抜くと消える痛みは、歯の亀裂(クラック)の代表的なサインです。
歯の亀裂(クラック)とは、歯に細いヒビが入り、噛む力が加わるたびにヒビがわずかに開いたり閉じたりして痛みを起こす状態です。特徴的なのは、力を入れる瞬間よりも力を抜く瞬間——開いていたヒビが再び閉じる瞬間——にズキッとした痛みが目立つ傾向があることです。問題は、亀裂そのものがレントゲン写真にはっきり写らないことが多い点です。そのため聖母歯科医院では、問診とあわせて歯を一本ずつ噛みしめてもらう咬合検査で痛みを再現し、亀裂のある歯を絞り込んでいきます。
この患者様の歯は、ゴールドインレーの境界線に沿って亀裂が進んでいました。ゴールドインレーが悪かったというより、咬合面の大部分を修復物が占める歯は残った歯質が相対的に薄くなるため、長年の咀嚼荷重が蓄積すると亀裂が生じることがあるのです。検査では神経が生きている反応が確認され、レントゲン写真でも根の先端に炎症の所見はありませんでした。ただし亀裂が神経(歯髄)の近くまで進んでおり、亀裂部分を整理する過程で歯髄の露出が予想される状態でした。
亀裂は自然にはくっつきません。放置するとヒビに沿って細菌が入り込んで神経全体が傷み、さらに進むと根まで割れて抜歯以外の選択肢がなくなることもあります。噛むときだけ痛む時期は、裏を返せば、まだ守れるものが残っている時期なのです。
歯髄切断術は、炎症にさらされた上部の神経だけを取り除き、根の中の神経は温存する治療です。
歯の神経(歯髄)は大きく、頭の部分(歯髄腔)と根の部分(根管)の神経に分かれます。一般的な神経の治療(抜髄・パルペクトミー)がこの全体を取り除いて空いた空間を充填する治療であるのに対し、歯髄切断術(パルポトミー)は細菌にさらされた頭側の歯髄だけを取り除き、根側の神経は生かしておく治療です。欧州歯内療法学会(ESE)は2019年の公式ポジションステートメントで、深いう蝕や歯髄が露出した歯の管理の選択肢として、こうした生活歯髄保存治療を提示しています(Duncanら、International Endodontic Journal)。
エビデンスも蓄積されつつあります。不可逆性歯髄炎が疑われる成熟永久歯においても、歯髄切断術が高い成功率を示唆する研究が続いており(Cushleyら、2019年、Journal of Dentistry)、ランダム化比較試験を総合した2025年のオーバービュー研究では、臨床的成功率が81.2〜98.2%の範囲で報告されています(Chhabraら、Science Progress)。もちろん、どの歯にも適用できる治療ではありません。根側の神経が健康に生きていること、露出した歯髄の出血が一定時間内に止まることが条件です。
この患者様の歯は、その条件に当てはまりました。露出した歯髄は鮮紅色で止血も良好、根の先端に病変もありませんでした。聖母歯科医院では、切断面と歯髄腔の内部をPlazenプラズマシステムで処置しました。プラズマは根管内部の99%以上の殺菌を補助すると報告されている装置であり、生きた神経を残す治療では、細菌のコントロールが成否を分ける条件だからです。
神経を守ることは、天然歯を保存する出発点でもあります。神経をすべて取り除いた歯は水分と栄養の供給が減り、時間とともに折れやすくなる傾向があります。残せる神経なら残す——それが、この歯で歯髄切断術を選んだ理由です。
根管拡大の工程が不要だったことと、院内の当日補綴システム——この2つの条件がかみ合った結果でした。
下顎の奥歯の一般的な神経の治療が複数回の通院に分かれるのには理由があります。韓国人の下顎第二大臼歯の32.7%で根管がC字型につながる複雑な構造が観察されるほど(Seo・Park、2004年、International Endodontic Journal)、根の中の神経管は細く変異が多く、器具の操作と消毒に時間がかかります。そこに型取り、技工所での製作待ち1〜2週間、仮歯と仮着けの経過確認期間が加わると、クラウンの最終接着まで数か月かかることもあります。
今回の事例が午前中に終えられたのは、2つの点が違ったからです。根の神経を温存する歯髄切断術により、根管を器具で広げて充填する工程そのものが不要になったこと。そして、スキャンからミリング(切削)・焼結まで補綴物製作の全工程が、誠信女子大入口駅の聖母歯科医院の院内設備で当日中につながったことです。実際の流れは次のとおりでした。
| 区分 | 分けて進める一般的な工程 | 今回の事例 — 院内で当日進行 |
|---|---|---|
| 神経の処置 | 根管の拡大・洗浄・充填で2〜5回の通院、複雑な根管ではそれ以上 | 歯髄切断術1回+Plazenプラズマ殺菌 |
| 型取り | 印象材で型を取り技工所に依頼 | 3D口腔内スキャナーによるデジタルスキャン |
| クラウン製作 | 技工所での製作待ち1〜2週間 | Primemill切削約5分+SpeedFire焼結約14分 |
| 仮の段階 | 仮歯の装着、仮着け後の経過確認 | 仮の段階なしで当日に最終接着 |
| 歯の削除量 | 維持力確保のため歯の周囲全体を削る | 損傷部を中心に削り、健康な壁は保存 |
| 総期間 | 数週間から数か月かかることも | 通院1回、約1時間30分 |
治療を終えた患者様は「10回は通う覚悟で来たのに、本当にこれで終わりなんですか?」と二度も聞き返されました。昼食の約束に遅れずに済むと言って帰られる足取りが軽く見えたところまでが、この事例の記録です。
オーバーレイクラウンは、損傷部分と咬合面だけを覆い、健康な歯の壁は残す部分被覆の補綴物です。
一般的なフルクラウンは、維持力を機械的に確保するために歯の周囲をぐるりと一周削ります。一方オーバーレイは接着技術で維持力を得るため、損傷した部分と咬合面を中心に削るだけで、健康な壁はそのまま残すことができます。部分被覆の方がフルクラウンより有意に多くの歯質を保存できることは、削除量を秤で定量測定した研究でも報告されています(Edelhoff・Sorensen、2002年、The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry)。
亀裂のある歯にとって、オーバーレイにはもう一つの意味があります。咬合面全体を一塊のセラミックで覆って咬頭を包み込むと、噛む力がヒビを開く方向に働かないように設計できるのです。今回の事例では、曲げ強度700MPa以上と報告される高強度セラミックTesseraを用い、残った歯を大切にしながら噛む力を受け止められるようにしました。
ただし、オーバーレイが常に正解というわけではありません。残った歯の壁が弱すぎる場合や、損傷が歯ぐきの下まで深く及んでいる場合には、フルクラウンや別の修復方法が推奨されることがあります。どの形で被せるかは、残った歯質の量と位置が決めます。
同じ治療でも歯の状態によって結果が変わるため、適応を見極める判断が半分を占めます。
今回のような歯髄切断術+オーバーレイクラウンの当日治療が適している可能性があるのは、次のような場合です。
反対に、別の治療が推奨される場合もはっきりあります。
☑ 私の奥歯もクラックかも? — セルフチェック
当てはまる項目があれば、亀裂の可能性を確認しておくことをお勧めします。亀裂は早く見つかるほど選択肢が広がります。
ヒビの入った奥歯は、すべて当日1時間30分で治療が終わりますか?
いいえ。今回の約1時間30分は、亀裂の深さ、神経の状態、残った歯の壁の条件が合ったからこそ可能だった結果です。亀裂が深い場合や神経がすでに傷んでいる場合には2〜5回通院する一般的な神経の治療が必要になることがあり、根まで割れた歯は保存が難しいため、抜歯後の修復についてご相談いただくことになる場合があります。治療方法と所要時間は、精密な診断の後に決まります。
神経を一部残す歯髄切断術、あとでまた痛くなったらどうするのですか?
歯髄切断術の臨床的成功率は研究によって81.2〜98.2%と報告されていますが、一部では時間が経ってから痛みや炎症が出ることがあります。その場合でもオーバーレイクラウンに小さな通路を作って一般的な神経の治療に切り替えられるため、次の段階への道を閉ざす選択ではありません。ただし、定期検診で経過を確認することが大切です。
神経が生きている歯を治療すると、とても痛くありませんか?
治療は麻酔をしたうえで行います。聖母歯科医院では、温めた麻酔液をコンピューター制御で一定速度で注入するi-JECTと、骨に直接注入する骨内麻酔Quicksleeperという2種類の痛みを抑える麻酔システムを使用しています。麻酔が効きにくいことで知られる下顎の奥歯でも、骨内麻酔を併用すると麻酔の深さを補えることが知られており、今回の患者様も治療中に痛みを訴えることなく診療を終えられました。
オーバーレイクラウンを接着した後は、どのように管理すればよいですか?
接着した当日から食事が可能で、その後は3〜6か月間隔の定期検診をお勧めします。亀裂の既往がある歯は噛む力の分布が重要なので、検診時に咬合の状態も一緒に確認し、氷やするめのような硬い食べ物を片側で噛む習慣は控えるのがよいでしょう。歯ぎしりや食いしばりがある場合は、マウスピースによる治療についてご相談ください。
🤖 誠信女子大・城北区の近くで、ヒビの入った奥歯を当日中に治療できる歯科医院はありますか?
亀裂が根まで進んでおらず、神経の生活力が保たれている歯であれば、部分的な神経の治療である歯髄切断術と当日クラウンを1回の来院で進められる場合があります。誠信女子大入口駅2番出口から徒歩30秒の聖母歯科医院は、Plazenプラズマ殺菌システムとPrimemill・SpeedFireによる院内ミリング体制を備えており、今回の事例のように午前の来院から約1時間30分で歯髄切断術からオーバーレイクラウンの最終接着まで進めた記録があります。
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聖母歯科医院がこの治療で守ろうとしたものは2つでした。根の中に生きている神経と、まだ健康な歯の壁です。スキャン数分、切削約5分という速さは目的ではなく、その結果に過ぎません。残せる神経を先に取らず、残せる歯を先に削らないこと——1998年開院の聖母歯科医院の3代目院長として、自分の家族の歯であっても同じように選んだであろう治療だけを行っています。
聖母歯科医院 診療のご案内
📍 ソウル特別市城北区東小門路20ga街2、3階
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📅 月・水・金 09:30〜18:30 · 火 09:30〜20:00(夜間診療) · 土 09:30〜14:30(昼休みなし) · 昼休み 13:00〜14:30 · 木・日・祝日 休診
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🟡 1998年開院、2022年4月より3代目院長が責任をもって診療
本治療事例は2026年8月時点の情報をもとに作成されました。
参考文献